
服を選ぶとき、あなたはどんなことを考えるでしょうか。
色、シルエット、値段、ブランド名。選ぶ基準はひとそれぞれです。しかし、「この服を着た自分が好きか」という問いに正直に向き合えている人は、意外と少ないかもしれません。
quadroはその問いを、ブランドの中心に置いています。
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■ quadroという名前の意味
quadroという言葉は、イタリア語で「額縁」を意味します。
美術館で一枚の絵画を眺めるとき、多くの人は絵そのものに見入ります。しかし、その絵の周囲に静かに存在する額縁が、絵の世界を際立たせていることに、ふと気づく瞬間があります。
良い額縁は、主張しません。でも、なくなったとたんに絵がどこか落ち着かなく見える。それほどに、その場所に必然として存在している。
quadroが作る服も、まさにそれと同じ役割を担いたいと考えています。デザインは至ってシンプルです。しかしそれは、引き算の美学のためではありません。服の中心にいる「あなた」を主役にするための、静かで確かな意志です。
■ シンプルの奥にあるもの

「デザインがシンプルだから、素材とつくりが勝負」とよく言われます。quadroはその言葉を、正面から受け止めてきたブランドです。
糸の撚り方、色の染め方、布の織り目の密度。表面を見るだけでは分からないことが、服の中にはたくさんあります。それらはすべて、実際に着た瞬間にだけ分かる情報として、生地に織り込まれています。
たとえば、近江の晒し技術を使った綿麻素材は、洗うたびに風合いが増し、着込むほどに自分の体に馴染んでいきます。見た目にはシンプルなシャツでも、その一枚の後ろには、長年の産地との対話と、試行錯誤の積み重ねがあります。
「飽きのこない服」とは、最初からすべてを見せない服です。着るたびに新しい良さを発見できる服が、結果的に長く愛されていきます。
■ 日本の職人技術を、最大限に活かすということ

quadroのすべての服は、日本国内の工場と職人の手で作られています。
「MADE IN JAPAN」という言葉は、近年あらゆる場所で使われるようになりました。しかしquadroにとってそれは、品質の証明というより、ものづくりへの姿勢そのものです。
糸の撚り方や色付け、織り方、編み方――そうした細かなプロセスのひとつひとつに、日本の繊維産地が何十年もかけて育んできた知恵と技術があります。機械で均一に作られたものではなく、熟練した職人の目と手が介在することで、服はひとつの「もの」としての存在感を持ちます。
量産と効率化が求められる時代に、手間のかかる道を選ぶこと。それはquadroにとって、単なる美学ではありません。着る人が長く愛せる服を作るために、譲れない条件です。
■ 着る人が「絵」になるために

額縁の役割を果たすために、服はシンプルでなければならない。しかし、シンプルであるために、服は最高でなければならない。
この一見矛盾したようなテーマが、quadroのものづくりの出発点にあります。
派手なデザインは目を引きますが、着る人よりも服が前に出てしまいます。一方で、ただ地味なだけの服は、着る人の良さを引き出せない。その狭い道の中に、quadroが求める服の姿があります。
着ていることを忘れるくらい自然で、でも脱いだときに「やっぱり良い服だったな」と気づく。そういう服を手がかりに、あなた自身が輝く。それがquadroの、変わらない目標です。
■ 流行よりも、長く愛されることを選ぶ

流行は巡ります。トレンドは移ろいます。
しかし「着る人を際立たせる服」という命題は、時代を超えて変わりません。
10年前に買ったquadroのシャツが、今でも現役で着られている――そんな声をお客様からいただくことがあります。それは素材の耐久性だけの話ではなく、デザインが時代に依存していないからだと思っています。
今この季節に欲しい一着であることと、10年後も手放したくない一着であること。その両方を同時に満たせる服を作ること。簡単なことではありませんが、それがquadroの目指す場所です。
■ おわりに
quadroという名前を知らなくても、手に取った服の質感に驚いたことがある方がいるかもしれません。あるいは、長く着ているうちにじわじわと好きになっていった服が、実はquadroだったという方も。
それで良いと、私たちは思っています。
名前よりも、着た人の表情が変わること。ブランドよりも、その一着があなたの日常を豊かにすること。
額縁は、目立たなくていい。ただ、確かにそこに必要な存在として、あり続けることが大切だから。
quadroはこれからも、あなたが主役でいられる服を作り続けます。










