ブロード素材は元々ウールでできた毛織物を指していました。しかし最近ではコットンが主流となり、手が届きやすい生地として親しまれています。今回はブロード素材の特徴や使い道、注意すべきデメリットとその対策について紹介します。
ブロード素材ってどんな生地?
ブロード素材は羊毛(ウール)を使った平織りのことを指していましたが、最近では綿が主流になっていて、伸縮性や快適な軽い着心地が特徴です。他にも化学繊維のポリエステルから高級な絹まで幅広い素材で作られています。
使う糸によって薄い生地から厚い生地まで調整ができるので、夏用でも冬用でも季節に合ったアイテムが作れます。またブロードでは縦糸は1本、横糸は2倍の2本を合わせて織っているため、ブロード素材ならではのユニークな横畝が見られるのも魅力です。
ブロード生地は英・米で呼び方が異なる
ちなみにブロード生地は国によって呼び方が異なり、アメリカでは「ブロードクロス(broadcloth)」、イギリスでは「ポプリン(poplin)」と呼ばれています。
日本でも実は糸の細さによって分類されていることも多く、糸が薄い「50番手」以降のものはブロードクロス、糸が太い「20〜30番手」で作られたものはポプリンと呼ばれることもあります。
ブロード素材の特徴
ブロード素材の特徴は何と言っても柔らかな肌触りです。糸が非常に細く高密度に織られているため、ザラザラとした凹凸がなくスベスベで滑らか。また表面にシルケット加工というコーティングを施すことで、まるでシルクのようなサラサラとした風合いに仕上がります。
厚みはなくても耐久性が高くハリがある
薄手でありながらも耐久性に優れていることもブロード素材の魅力です。シャツとして使われることのある素材のため、洗濯をしてもヘタレにくいのが特徴です。生地が丈夫なのは力だけでなく、熱によるダメージにも強いのでアイロンを使ってももちろん大丈夫。丁寧にケアをしていれば、長くきれいに使い続けられます。
上品なハリと光沢感で高級感が増す
ブロードは気品のある光沢感もあり、ハレの日の洋服として重宝します。シャツはもちろんですがドレスやブラウス、ワンピースなどに向いている素材です。
シャツ生地の中にはオックスやヘリンボーンなどさまざまな種類がありますが、ブロード生地は織り目が目立ちにくいので特に高級感があります。ちなみにブロード素材は基本的には細い糸を使っていますが、少し太くするだけでオフィシャルではなくカジュアルシーンでも使えるアイテムになります。
裁縫がしやすい
ブロード素材は柔らかさと丈夫さを持ち合わせているだけでなく、裁縫に重宝しやすいのも嬉しいポイントです。薄地でありながらもハリがあるので、裁縫に慣れていない方や細かいデコレーションが必要な部分も、比較的簡単に扱えるのが魅力です。洋服はもちろんですが小物作りにも適している素材です。
ブロード素材のデメリットは「シワ」
一方でブロード生地はシワになりやすいというデメリットもあります。最近のシャツはオフィススーツなどには、シワ加工が施されている生地もあります。しかしやはり家庭用の洗濯機で洗濯した後や、長時間座った後にはシワがついてしまうのでアイロンがけが必要になります。
ちなみに化学繊維のポリエステル製のブロード生地は、他よりもシワができにくいものもあります。上品さに欠けることはあるかもしれませんが、シワケアが面倒という方は糸の素材にも着目してみてください。
ブロード生地のお手入れ方法
ブロード生地は家庭での洗濯はできますが、綺麗に長持ちさせるなら洗濯後の取り扱い方法は要チェック!乾かす時に洗濯バサミを使うと、肩の部分に挟んだ跡がついてしまうので、ボタンをうまく使って前を閉じて風に吹かれないように固定するのがおすすめです。
また綿のブロード生地の場合は、太陽光による日焼けにも注意が必要です。できれば日干しもしくは乾燥機で乾かすようにしましょう。
洗濯してから乾かす前にパンパンと叩く方は多いと思いますが、ブロード生地の場合はそれだけではシワが落ちにくいです。そのため乾かした後のアイロンが重要。熱には強いので高温(180〜210℃)にセットしてアイロンがけをしましょう。その時に蒸気が出るスチームアイロンがベター。自宅にない場合は霧吹きで水をかけてからアイロンを当てると簡単にシワを伸ばせます。
ブロード生地の使い道
ブロード生地はさまざまな用途で使われています。定番はシャツやブラウスで、フォーマルとカジュアルとシーンに合わせて糸の細さが変わります。またドレープを綺麗に作れるスカートもブロード生地が使われます。薄手の生地でも形状記憶に優れているブロードは、細かい部分も繊細に表現できます。また立体的に作れるのでふんわりとした雰囲気を作れるのも魅力です。
ブロード素材の魅力は奥深い
今回はブロード素材の魅力や特徴、一方で気をつけておくべきケアの方法について紹介しました。頑丈で上品な雰囲気はブロード素材ならではの魅力で、さまざまな用途で使われています。ぜひ素材に着目してみてください!